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その後、巧と合流して教室に向かった。すると、巧がこうきりだした。
「ゆーちゃん、何か隠してるでしょ?しかも、夜遅くまで眠ってないよね?その隈。」
と俺の目の下をなぞる。
「何にも隠してねぇよ。」
と、そっけなく言うと。
「寝不足だからイライラするんだ。」
と、毒づかれた。
ガラッとあまりいいとは言えない音を出して、教室の扉をあけた。
俺が入った途端に一瞬だけ、声が止まる。あまり、気分が良くない
椅子に座ってだらぁ、と机に寝そべれば、案の定ホストン先生の登場だ。
「憂季、お前絶対昨日の早退仮病だろ。今度やったら点落とすぞ」
と、言葉だけの脅しをして出席を取り始めた。
しかし、生徒のヒソヒソと話す声はどこからともなく聞こえてくる。
‘’有篠君だよね!あの人!‘’
‘’不良っぽいよね‘’
‘’かっこいいよ///‘’
‘’でもさぁ、先生に名前呼びとかどんな関係なんだろう‘’
‘’柄悪くて嫌だなあ‘’
好き放題に推測や憶測を並べ、噂に尾ひれをつけていく。
憂季は無意識に手をぎゅっと握りしめた。
僅かな血が出て、じんわりと、シャツの白を赤くしていた。
[ゆうはお人好しだね。]
[俺はそーいうのは嫌いなんだ]
[ゆうは其れで幸せ?]
「ぁ。」
一瞬だけ、記憶が跳ぶ。
「本当に大丈夫?ゆーちゃん。」
「大丈夫だ。」
と、近くの席の巧に半ばイライラしながら答えた。
これじゃあ、八つ当たりだ。
本当、駄目だな。
と、俺は自虐的に微笑んだ。
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