残像賛美

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side巧 「ゆーちゃんに嫌われたかな…」 ぼそり、と呟いた。 ゆーちゃんは苦しんでる。 それは、見てれば分かるんだよ。 「ゆうき。」 何度でも呼びたい。 ゆうき は僕に任せていいんだよ。 ゆうき は俺に任せていいんだよ。 俺に守られてよ。 その為には知らなきゃいけない。 ゆうき の本当の言葉を。 皆、何にもわかっちゃいない。 「俺が守らなきゃいけない…」 親衛隊会長補佐。 初代総隊長として。 役目を果す。 スマホを手にとって口角を上げる 電話を繋ぐ。 『はぁーい?総隊長ですー。』 なんとも間抜けな声が聞こえた。 久しぶりだし、派手にいこう。 『余香。制裁命令を下す。 標的は‘’神代 鞠人‘’情報は後で送る。以上が、会長補佐からの命だ。心してかかれ。』 『ありり?制裁はしないんじゃにゃーの?まぁ、いいけど☆』 そういいながら声のテンションは高い。ふざけた態度も、間延びした声も、笑顔も全てが 余香の武器である。 『あと、取り巻きの二人は、 俺のとこに連れてこい。』 と、言って切る。 もう、ゆーちゃんが殴られんのだけは嫌だ。 光景がフラッシュバックして、涙が零れた。 「ぁあヒグッごめっんね…ゅ…き」 泣き声をみっともなく響かせ、 僕はそれでも、君を想う。 sideout
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