残像賛美

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とりあえず、午前の授業が終わり、俺は独りで食堂に来ていた。 寝不足で欠伸が止まらない。 適当なカウンター席に座り、 「ルイボスティー」と注文する。 食堂は程良く植物が置かれ、レモングラスの爽やかな香りが漂っている。この雰囲気は中々趣味が良くて居心地がいい。 俺が独りで食堂に来ているのは 巧が用事でいないからであり、 けして、独りぼっちなのではない カラン と、音がして、食堂のドアが開かれた。 「「「「キャー!!!!」」」」 「「「「会長様ー!」」」」 「「「副会長様ー!」」」 生徒会の皆さんが御来店だ。 しかし、会長の頬にはガーゼが貼られていて、何とも間抜けである。 まぁ、あのマリモにやられたのだろう。 同情はしないがな。 と、半ば冷めた瞳で俺は生徒会を遠巻きに見つめていた。 頼んだルイボスティーは食堂の熱気に当てられてグラスに水滴が零れる。 はぁ、 と溜め息が出た。 まだ黄色い悲鳴は止まず、 未だに「会長サマー!!」とか聞こえるのは幻聴だろうか? 執着するのは勝手だが、俺の耳が犠牲になるのは勘弁だ。
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