気紛れ

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突然聴こえてきた声。 「こんなこと許さないから!」 どうやら揉めているようだ。 「なぁ、もう良くね?」 「はぁ?虐めるの楽しいし」 「お前さてはドSか」 「でも、飽きたな」 「ああー、うん」 「じゃあ、ヤっちゃおう」 間違いないな、と思いながら俺は溜め息を吐いた。 犯罪の瞬間だ。 「嫌だ!来るな糞野郎!!」 ドタバタと暴れてもがいているのは小さな男の子だった。 人間的に素通りは出来ない。 てか、巻き込まれたくないなぁ… と思いながらも、ほっとけない。 俺は善くも悪くも善人にはなれないのだ。 ザッ 「何してんの?」 すると、思った通り。 少年の白いシャツは汚れて茶色くなっていて、ところどころ打ち身が目立つ。 「何って、ナニ?通報とかしようとすんなよ、したら次、お前にするから」 少し脱色した茶色い髪の男が茶化しながら脅す。イントネーションが可笑しいが、別にどうでもいい。 けれど、この落ち着き方は常習犯の可能性が高いだろう。 手慣れてるし。 ただの勘だけど。 「いやいや、通報とかめんど」 「じゃ 混ざる?」 軽い感じ似合わないなぁ俺、とか 思いながらへらへらと笑う。 もともと、演技は得意じゃない。 泣いちゃったかなぁなんて男の子の方を見ると 男の子は泣いても怯えてすらいなかった。 憎しみのこもった目だった。 けど、顔は熟れた果実のように紅潮して、潤んだ瞳は助けが必要だと、云っていた。 てか、描写生々しい。 変態か、俺。 「可愛い」 ただの感想だ。 けれど、もしかしたら、挑発的な目が苛ついたからかもしれない。 脱色した茶髪は笑い掛けて来る 油断は禁物だよねぇ。なんつって とんっ 「グァッ」 茶髪の内蔵あたりに蹴りをいれ、 後の二人を右足で弾いて、内臓を容赦なく抉る形で蹴った。 いくら、文化系でも蹴れば結構な威力になるみたいで、痛そうに顔を歪めていた。 俺は男の子を引っ張って立たせ、 ニヤニヤと笑った。 「ナニす…んだ!」 「え?何?聞こえねー」 「正義の味方かよww」 耳障りに喚く茶髪を睨む。 「グチグチグチグチ五月蝿い」 転けた男の急所をひたすら踏む。 ストレス解消を含め。 「はい、ざまぁ」 最後に全員の顔を踏んで俺は保健室へと走った。
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