序章

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美奈子は美容やジムに通い34歳になっても20代に負けない若々しさを自負している。 周りの同年代は所帯をもち、子を授かり苦労しながらも幸せに暮らしていた。 美奈子は助産師という仕事に誇りをもち 自由に暮らしていて幸せではあるが、歳を重ねるごとに淋しさが募っていた。 「…赤ちゃん欲しいなぁ」 助産師として働いていて生命の誕生には何度体験しても感動し身震いしてしまう。 それほどまでにお母さんは命懸けで自分の子どもを産むのだ。 しかし産婦人科には幸せなことばかりではない。 望むもの 望まぬものも含めて多くの死があるのだ。 小さな小さな命が消えゆく様にただただ哀しかった。 様々な経験を通して美奈子は子を慈しみ育てたいという気持ちは大きくなっていった。 「あ~普通に働いて 私を愛してくれる人いないのかなぁ」 美奈子には相手がいなかった…。
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