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『…………タスケテ…』
「ん?」
ガバッと起き上がるとキョロキョロ辺りを見渡した。
「ん~?あれー今可愛い子どもの声が聞こえたよう…『…タスケテ…』…な?」
えーっとどうしよう。生まれて34年、霊感なんて全くなかったはずなんですが…。
職場にはいましたよ?
夜勤で一緒なった後輩が半泣きで帰ってきてギャーギャー騒ぐから見に行ったけどやっぱり私には見えませんでした。
って今はそれどころじゃなくて子どもが!可愛い子どもが助けを呼んでるんです!!
幽霊だろうが魔物だろうが助けるのが大人の役目でしょう!!
『どこにいるの!?今すぐ助けてあげるから!」
「……オネガイ…タスケテ…シニタクナイヨ…」
「死に…ッ!?君はだれ?」
「…チロ…」
「チロ?…チロ必ず助ける。助けてあげるから待ってて」
神様仏様…子どもが助けを求めています。幽霊ならば成仏をさせてあげてください。もし現実にいるならば、助けて下さい。お願いします。
34年間縁結びならば神社や寺に通ったが、本気の願いなど初めてだった。
ただこれ以上哀しい死を増やしたくなかった。
「…お願い!!」
その時強くつむった瞼の奥まで届く眩しい光りに包まれて美奈子は意識を失った。
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