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―――― 一ヶ月前
これは魔導師錦乃宮揶流と殺人鬼との会話である
「ふむ君は見たところ追われているようだね」
「見た通りだよ」
「ならちょうどいい」
「なにがだよ」
「Water is the incarnation of a life.」
揶流はポツリと呟いた
「お前何を!?」
そう叫んだ後、殺人鬼は意識を失われた
「急な治癒は体に負担を掛けるんだ…覚えておけ」
倒れゆく殺人鬼の体を揶流は抱いて受け止めた
「こんな魔法の時代でも世界は何一つ変わらないんだよな…姉さん」
揶流は苦々しく呟いた
そして話しは今に至る
「で私は何故制服を着ているんだ揶流!」
「一応俺の生徒だからな」
「まさか!?」
「ああ慎ましかったな…」
「貴様!」
「曲天を抜くな…危ないだろう?」
一見楽しそうな会話だった
「曲天…杖と刀を合わせた儀礼用概念霊装だったか」
「よく知っているな…こんな話しは知っているか?」
「あ?」
「曲天は対になる流天という対極の刀があるんだぜ?」
「そうだなそれを作った刀鍛冶も言ってたしな」
「というか話しを曲げたな」
「曲天だけにな」
だがナイフを常に持ち歩いて居るところを見ると殺人鬼である彼女は錦乃宮揶流を殺そうとしていたし、錦乃宮は魔術を極めた魔導師だ
だから、魔導師であるという奢りに彼女は付け込もうとしていた揶流はそんな隙を見せなかった
「そういや揶流私もう魔術師だぞ。魔法なんてとっくの昔に修めているぞ」
「だから俺の弟子をしてもらう」
「なんだって?」
「お前の宗術も限界だろう?」
「まだ持つよ」
殺人鬼は言い聞かせるように呟いた
「私は…まだ持つ」
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