第参節・波乱尽くめの三日間

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「なるほどね。事実を見せる夢見のせいで、逆に不確定なものが見られなくなった・・・って感じかな?」 「たぶんね。もしかしたら、地球人の血が混ざってるからかもしれないけどね。これまで何回かやらせたけど、ケイタが言った通りでなーんにも映らなかったわ。」 「ダルキアン卿は、どのようにして探されているんです?」 「拙者でござるか?拙者もまた星詠みが得意な方ではござらんのでな、養い子であるユキカゼに任せているのでござるよ。」 「ユキカゼ?」 「そうか、昨日の戦でもケイタは会っておらなんだな。」 「そうでござったか。それなら、そろそろ────」 ダルキアンの話の途中で部屋の扉がノックされ、扉の傍にいたルージュが応対するために扉を開く。 「ルージュ殿、お館様はこちらでございましょうか?」 「あら、ユキちゃん。ちょうどよかったわ。」 「ん?何の話でござるか?」 「いえ、こちらの話よ。ブリオッシュ様かしら?」 「はい。ムラクモやオンミツ隊を連れて帰るようにと、連絡を受けましたので。」 廊下での声が聞こえていたダルキアンは、レオンミシェリに確認をとる。 「レオ様、挨拶も兼ねてユキカゼを入れても構わんでござろうか?」 「よいのではないか?ワシに確認するほどの事でもあるまい。・・・ルージュよ、大筋の話は終わっておる。ユキカゼを入れてやってくれ。」 レオンミシェリの声が聞こえていたルージュが、扉を開けてユキカゼに中へ入るように促していく。 「失礼いたします。」 「ユキカゼ、こちらでござるよ。わざわざ来てもらってすまんな。」 「いえ、拙者も少しノワに用事がありましたので。」 部屋に入ってきた狐のような耳と尻尾を持つ少女ユキカゼが、ダルキアンと言葉を交わす。 「ダルキアン卿、この子が?」 「そうでござる。ユキカゼ、こちらはケイタ殿。シンクや七海殿の師で、色々と訳あってフロニャルドへ来られている。」 「はい。昨日、戦場の中継でお姿は拝見させていただきましたが、こうしてお話させていただくのは初めてでございます。・・・ケイタ殿、拙者ビスコッティ共和国オンミツ隊筆頭ユキカゼ・パネトーネと申します。」 「どうも、ケイタ・フォン・シュトュルデルです。あの、そんなに堅苦しくなくて構わないよ?もっと、気楽な感じでいいしさ。」
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