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「つまり、拙者や兄者はケイタ殿の話を信じたというより、ケイタ殿を信じた・・・と言った方が正しいでござるな。ロラン殿・エクレール、これでは答えになっておらんでござろうか?」
「いや、私にとっては十分過ぎる答えだ。」
「私も同意見です。」
「そうでござるか。」
自分の意見を受け入れてもらえたダルキアンが安堵の表情を見せると、続けてロランが質問を投げ掛ける。
「話を戻すが、そのフィードと言う魔物はどこに封印されているかわかっているのかい?」
「場所についてはこの大陸ではありません。次元の歪み・・・フロニャルドや地球といった世界の狭間にある空間に封印されているようです。」
「そんな場所にいる魔物をどうやって────」
寝耳に水な話を聞いたエクレールが、再び難しい顔をして言葉を漏らす。
「その場所に繋がる唯一の手掛かり・・・それが、この大陸に初めて生まれた国メルスだ。」
「メルス?」
「ああ。メルスはフィードを封印した場所。シャロの話では、その時点で既にメルスは崩壊してしまったみたいだけど、その場所には世界の記憶とも言える大地の歴史が遺されてる。それを読み解けば、そこに繋げる事が出来るらしい。そうだよな、シャロ?」
「そうね。どこまで出来るかはわからないけど、それを探すのが一番早いのは間違いないと思うわ。」
「魔物の件もそうだが、メルスと言う国も聞いたことがない。それはいったいどういう事なのだろうか?」
「それについては私もわからないわ。なにせ、メルスに関することが何一つ遺されてないのよ。文献や言葉・・・その存在すらもね。」
ケイタの肩に腰掛けていたシャロの話を聞いて、更に謎が深まった室内に重苦しい雰囲気が漂う。
「次元の歪みに大陸最初の国、そして世界の記憶・・・どうすればいいのか検討もつかないな。」
「そうだね。どれか一つでも手掛かりがあればいいんだけど。」
「メルスの事については、リコや魔王さんに調査をお願いしていたのですがそちらはどうなりましたか?」
頓挫してしまった話の流れを戻すため、事前に手を打っていた二人にミルヒオーレが話を振る。
「姫様。それなのですが、研究院の資料や各国の伝承を調べてもメルスと言う単語自体が見当たらなかったのであります。」
「そうなんですか────」
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