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「そうか。」
「まあ、それくらいならいいんじゃない?」
「うむ♪任せておけ♪」
「(なんか、やたらと上機嫌なのが妙に引っかかるが・・・まあ、いいか。)」
禍太刀の捜索を手伝ってもらう手前、不意に湧き出た疑問をケイタが押し殺し場が落ち着きをみせる。
夜が更けてしまったことから、レオンミシェリの勧めでガレットに留まることになったダルキアン達が部屋へ引き上げたことでこの場は解散となるのだった。
そして、翌日の朝────
朝日が射し込む中でソファーに腰掛け、なにやら作業をしているケイタ。
「(ダルキアン卿や閣下に目的を話したのは予定外だったけど、あの面子が軽々しく話すとは思えないからな。とにかく、探しやすくなったのは有り難い────)」
昨夜に得た情報と協力者について考えているケイタの耳に、扉がノックされる音が届く。
「はい。」
「ケイタさ~ん、七海でーす。起きてます?」
「七海か・・・ああ、起きてるよ。入ってきてもかまわないぞ。」
「じゃあ、お言葉に甘えて♪お邪魔しま~す♪」
ケイタの許可を得た七海が、楽しげな声で扉を開けて入ってくる。
不意に入口へ向けたケイタの視界には、七海に続いてジェノワーズの三人が続々と入ってきていた。
「なんだ、三人も一緒なのか。」
「はい~♪七海ちゃんに誘われまして♪」
「あ、私とジョーは別件で。」
「そうそう。ウチらは、ケイタさんに聞きたいことがあったんです。七海達とは、部屋の前で一緒になったんや。」
「そうか。まあ、適当に寛いでくれていいよ。」
ケイタの言葉で思い思いの場所で寛ぎ始めた七海達。
そんな中で、ベールがケイタの膝に置かれている物に気付く。
「ケイタさん、何をされていたんですか?これは・・・編み物?」
「ん?ああ・・・考え事をする時に、手を動かしてる方が集中出来るみたいでね。」
「へぇ、そうなんですかぁ。」
「それにしても、編み目が細かいなぁ。ウチには出来そうもないわ。」
ベールと話しながら編み物を再開したケイタ。
その手元を覗き込んだジョーヌがその細かい作業に驚いていると、ベッドに腰掛けていた七海が枕元に置かれた瓶に気付く。
「ねぇ、ケイタさん。この瓶に入ってるのって飴?」
「ん?ああ、そうだけど?」
「これ、シャロさんがいつも舐めてたやつ。」
「あ、ほんとだ。たしかに────」
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