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瓶に詰められている琥珀色した棒付きの飴。
それを見ていた七海が、蓋を開けて取り出す。
「いただきまーす♪ん~♪おいし~い♪」
「勝手に食べていいの?」
「あ、美味しそうだったから・・・つい───」
ノワールに突っ込まれ、本能に負けて食べてしまった七海が申し訳無さそうにケイタを見る。
「まあ、別に構わないけどな。ただ七海・・・せめて断りを入れてから食べような。」
「ごめんなさい。」
「ケイタさん、私も食べていい?」
「ウチも!」
「あ、それなら私も~♪」
「いいよ。食べたければどうぞ。」
「「「やったぁ~♪」」」
七海が美味しそうに食べていたのを見た三人も、ケイタに許しを得て飴を口にする。
「おいし~い♪」
「ほんまや。でも・・・なんやろ。」
「うん。この味、どこかで食べたことあるような。」
「三人共、この飴食べたことあるの?」
飴の味から記憶を辿っている三人に、七海が問い掛ける。
「いや、この飴やなくて・・・もっと違うもんやったはずなんやけど。・・・あ、思い出した!この味、ハチ蜜の味や!」
「うん、たしかにハチ蜜の味。」
「へぇ~。これって、ハチミツの味なんだ。地球のハチミツとは少し違う味なんだね。おいしいけど。」
「いやいや、七海。前にシンクから聞いたんやけど、地球のヤツとは違うんや。」
「どう違うの?ハチミツなんでしょ?」
ジョーヌの話に首を傾げる七海に、ノワール達が説明し始める。
「あのね、七海。フロニャルドのハチ蜜は、地球みたいに蜂って言う虫が集めるんじゃなくて、ハチェスタ黒熊って言う熊がお腹で作るものなの。」
「えっ!熊が作るの!?」
「そうや。それを手に入れるには、食べ物と交換するか一騎打ちで勝つかしかないねん。しかも、めっちゃ強いからなかなか手に入らへん貴重品なんや。」
「前に行った時も大変だったのよ?」
「そうなんだぁ。・・・あれ?でもなんでそのハチ蜜をケイタさんが持ってるの?しかも飴に加工して。」
「たしかに────」
七海の疑問に対し、ジェノワーズの三人も同じように思ったのかケイタの方に視線が集まる。
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