気になるアイツ

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ただ俺は、 ああ言えばまたこいつの泣き顔が見られると思って… でも… 兎ヨシダ「? どうしたの…?」 雄同士なのに、キスされたの嫌じゃない… 狼シオン「なんで…」 兎ヨシダ「?」 狼シオン「なんでそんな簡単にできちゃうの…? お前、俺のこと嫌い…だろ?」 そう、嫌われ者…。 "狼"は皆に嫌われる…。 人にも動物にも… だから、そんな俺を受け入れてくれた吉田さんしか俺を好きになってくれる筈無かった…筈なのに… 兎ヨシダ「…俺、シオンのこと嫌いじゃないよ?」 狼シオン「…!!」 アイツは俺を真っ直ぐ見て言った。 兎ヨシダ「そりゃ…シオンは俺より大きいし、狼…だし、怖いと思うことはある、けど…。 …でも、"嫌い"って思ったことは一度も無いよ?」 狼シオン「…あんなにいじめたのに…?」 兎ヨシダ「狼が兎をいじめるのはよくあることなんだろ? この前紫苑と見たテレビで言ってた。 でも、シオンは俺のこといじめはするけど食べたりはしないじゃないか」 狼シオン「それは…吉田さんにダメだって言われたし…」 兎ヨシダ「! じゃあ…一度でも食べたいと思ったこと、ある…の?」 俺の何気ない一言に、再びアイツの目がうるうるし出した。 いつもの俺ならここですかさず「ある」と言う……けど、 狼シオン「…無いよ」 素直に答えが出た。 .
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