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とある友人から子犬を預かることになった。
フワフワでコロコロしてて、くりくりっとした瞳が実に愛らしい。
その子犬に夢中な人がここに一人…――
子犬「ワンッ、ワンッ」
吉「あははっ、擽ったいって^^」
甘えるように吠えながら、子犬は自分を抱き上げている吉田さんの頬をペロペロと舐め、もともと犬好きな彼は嬉しそうに満面の笑みを浮かべている。
紫「……」
そんな光景を最初は微笑ましく見られていたのに、今はあまり面白くない。
紫「(嬉しそうにしちゃって…)」
子犬が来てからというもの、彼は何かと子犬の世話をやき、そんな彼に子犬はすっかりなついていた。
今や彼の笑顔が向けられるのは恋人の俺より子犬の方が多いのではないかと思うほどだ。
彼の笑顔が見たいからと預かったものの、今はそんなことを考えていた自分を恨むばかり。
紫「…吉田さん…」
背後から近よって後ろに座ると無防備な彼の体に腕をまわしてギュッと抱き締める。
吉「Σ!?// ど、どうしたんだ?紫苑…」
背後から突然の抱き締めに驚きを隠せない彼が振り向く。
紫「……別に…」
「子犬に嫉妬した」なんてガキっぽいこと言えない。
だけど…
紫「…ずるいぞ、お前…」
子犬「クゥン?」
俺だって、この人の笑顔を独占したいのに…――
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