#1 非科学技術研究学園

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『4月6日の今日、入学式という学校も多いのではないでしょうか?入学式を迎えるには絶好の快晴ですね!では各地の気温などを詳しく…』 「快晴ねえ…んなこと言ったって入学式は屋内でしょうが」 本来2人用の広い寮室で1人朝食を取りながら少女は呟いた。 「ご馳走様でしたっと、そろそろ準備しないと入学式に遅刻しちゃうね。やばいやばい」 言葉に反してゆっくりと準備を始める少女。 今日4月6日は多数の学校と同じ様に少女の学校もまた入学式である。 「いってきまーす!」 無人の部屋を背に少女もとい水城 夕葵【ミズキ ユキ】は駆け出した。 こうして彼女の普通とは違う学園生活が始まった。 ______ 寮室から飛び出すと、既に大勢の生徒や職員が入学式を行う会館へと向かっているのが見えた。 大体会場まで夕葵の寮室からは歩いて25分ぐらいの距離にある。 上の説明で分かるかもしれないがこの学校はとてつもなく広く、さらに生徒全員に2人1室で寮が与えられており3、4人で暮らしても申し分無い広さなのだが、夕葵の場合は人数的に溢れてしまった為、2人で使う部屋を1人でゆったりと使用している。 入学式の始まる時間まではまだ40分程ある為、ゆっくりのんびりと来たる新生活に思いを馳せながら足を進めていると後ろから聞き慣れた声で呼び止められた。 「ユッキー!!ひどいじゃないこの私を置いて行くなんて!」 「なんだ春香か、いきなり大声で呼ばないでよ目立っちゃうでしょ?」 声をかけたのはこの学校に唯一同じ中学校から来た友人、天谷春香【アマヤ ハルカ】。 友人と言っても浅い付き合いではなく、夕葵の母親が妊娠で通院してる時に春香の母親と知り合って仲良くなっていた為、実質お腹の中にいる頃からの幼馴染である。 夕葵は深い青色の髪で身長は人並み程度、春香は桃色の髪に身長は夕葵よりほんの少し小さいぐらいだろうか。 「そういえば今日は同じ部屋の子と行くんじゃなかったっけ?」 首を傾げながら問いかけると、 「そうだ、ひどいんだよユッキー!予定の時間に起きれなかったんだけど、起きたら置いていかれてたの!メモは残ってたけどせめて起こしてくれたっていいと思わない?」 「いや、それは寝坊したほうが悪いでしょう」 どうやら同室の相手に置いていかれてたようだ。
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