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「見つけたぞ白ちゃん!」
そういうと、春香は3人組の中で1番小柄な少女に飛び掛った。
「きゃっ」
ガンッ
飛び掛られた少女がか細い悲鳴をあげると、春香は何かにぶつかったようで鈍い音と共に少女の前に崩れ落ちた。
「ぐっ…さ、すがは私が認めた娘、もはや言い、残すこと、もないだろう…」
わざとらしく声を途切れ途切れにさせながら力尽きたように動かなくなる春香。
どう見ても演技なのだが白ちゃんと呼ばれた少女はそれが分かっていないようで、
「え…天谷さん……?」
必死に春香の体を揺らす少女。
春香は心なしかにやけている様にも見える。
「もしかして、死…」
………パタッ
何かを言いかけた所で今度は少女の方が倒れた。
物音を聞いて春香が飛び起きる。
「冗談だよ白ちゃん、あれ白ちゃん?おーい?」
「…」
「白ちゃん大丈夫っ!?」
先ほどと逆転して春香が少女を揺さぶるが反応はない。
「大丈夫ですわ、この子よくショックで気絶するんですの」
先ほどまで少女と喋っていたうちの1人が春香に声をかけた。
「あ…うん、そう…ごめんね私が変な事したばかりに」
まさかこんな事になるとは思っていなかった為、春香は申し訳なさそうに答えた。
「では私達はこの子を治療施設に連れて行きますのでまた後ほどお会いしましょう」
「あっ…」
2人は近くにいた教師を捕まえて事情を説明し、後を追おうとする春香を置いて少女と共に会場を後にした。
「全くなにやってるのよ…」
呆れ顔で夕葵は溜息を漏らした。
「ピュア過ぎるよ白ちゃん…」
「そういう問題じゃないでしょ!後でちゃんと謝りなさいよね、せっかくの入学式台無しにしちゃったんだから」
「はーい…」
反省はしているようで少しへこんでいたが、整列を促された為列に加わった。
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