2学期・後半

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前略 進藤隼人様、お父様、お母様 この度の数々のお力添え、本当にありがとうございました。 母は久しぶりの行楽が大変楽しかったようで、写真を眺めては思い出話を聞かせてくれました。 次は一緒に行こうと誘ってくれて、ここ数年で一番活き活きとしているように見えました。 そのまま元に戻ってくれたらとどうしても願ってしまいましたが、残念ながらそれとこれとは別問題なようで、やはり私と栞里を混同したままなのは変わりません。 あの後、父がまず1人で心療内科へ相談に行きました。 2年間もずっと見て見ぬフリを続けてきた父がようやく動いてくれたのも、全て進藤様ご家族にご協力いただいたおかげです。 父から「ずっと1人で背負わせて悪かった」という謝罪と今後に対する前向きな言葉を聞かされた時、心に支えていた大きな石が取り除かれたような気がして、すっと楽になりました。 母を連れて病院へ行く際、父は母になにも説明しませんでした。 最初に病院の先生と相談して、その方が良いと言われたそうです。 病院ではじめて『栞里』という言葉を聞いた瞬間母は大分取り乱したそうで、帰ってきてからもとても見てられない様子でした。
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