2学期・後半

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朱莉の家のリビングにこれまではなかった仏壇が出てきたことを、俺は母さんから聞かされて知った。 「写真見て驚いた。朱莉ちゃんにそっくりよ」 と、なんでもないことのようにさらりと言う。 「それより、調子どうなの」 朱莉の母親の、と、主語は抜けたが、母さんには通じる。 「今日は良かった。ちゃんと栞里ちゃんのことも分かってるみたいで」 仏壇を見ても素知らぬ顔をして、「前からありましたっけ」と尋ねたらしい。 そうしたら、ちゃんと末の娘のものだと説明を受けたと。 「それって……」 もう、大分改善してるってことなんじゃ。 それとも、もう治った? 「うん、母さんも期待したんだけどね」 と、期待を打ち消す苦笑いが返ってくる。 朱莉の母親といつものようにコーヒーを飲みながら話し込んで、仏壇には線香もあげさせてもらったらしい。 そして夕刻に家を出たところで、学校帰りの朱莉とばったり出くわした、と。 「会ったの!?」 ――俺ももう長いこと会っていないのに、と、若干の嫉妬心が非難がましい言葉になってうっかり零れた。 少し大きくなった声に驚いた顔をした母さんは、けれど動じずに話を続ける。 「まだ、波があるんですって。2年も放置してきたのだから、それなりに長引くだろうとお医者様は言ってるみたい」
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