エピローグ

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「残念だわ、隼人」 「はあ?何がだよ」 首に絡みついてきた裕也の腕を振り払いながら、懐かしさに駆られる。 こいつとはいつもこうだった。 人生を歩くペースが2年ずれても、変わらない関係。 「崇高な夢のために海外に渡ったって言うのにこの結果だよ!」 「っせえなあ、もう飽きたよその話題!夢貫いてる木嶋ならともかく、お前には言われたくないわ」 「本当に残念よ、進藤くん。ぶん殴ってやろうかと思ったわ」 ね、と隣の朱莉に同意を求める木嶋には、さすがに言い返す言葉もない。 「夢に向かって送り出した方の気持ちはねえー」 「ねえー!」 手を取り合って頷き合っている2人に、ため息まじりの苦笑。 この先もずっと、顔合わせるたびにこのネタで弄られるんだろう。 「仕方ねえだろ。――もっとやりたいこと、見付けちまったんだから」 「うわ何かカッコつけてる!」 「サイテー」 最低、じゃねえ。 結局笑いの種にされんだ、分かってる。 教員採用試験に受かったのは俺じゃなくて何故か朱莉で、俺はと言えば試験を受けてすらいない。 2年でコロリと目指す方向を変えて戻ってきた俺に、親も周りも目くじら立てたさ。 でも。 「まあ、2年無駄にして帰ってきたんなら許さないとこだったけどね」 ――本当は今では、分かってくれている。
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