2 ある朝の君は……

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合宿の朝は、栄養も何もかもが無駄の無い朝食で始まる 幸「やあ、おはよう白石。」 白「おお、おはようさん幸村君。」 幸「隣り、いいかい?」 白「もちろん、どうぞ。」 幸「ありがとう。」 不「やあ、僕もいいかな?」 幸「ああ、不二おはよう。」 白「おはよう不二君。ほんならここ、座りいな。」 不「そうさせて貰うよ。」 同室のメンバーで集まり朝食を摂ろうとしとると 財前達が珍しく4人揃って食堂に入ってきた。 赤「あ、幸村部長。白石さんも不二さんもおはようございます」 幸「おはよう赤也。」 悪魔化せんくなった切原君は この合宿にきた時よりずっと 表情が柔らかくなったし、 幸村君達との間にできた溝もなくなった (このことに関しては幸村君達に物凄く感謝された。) ……やのに、 今日の切原君は様子がおかしい。 なんや、無理しとるようなそんな感じがする…… そう思ったのは俺だけやなかった 幸「赤也、なんだか元気が無いね。どうしたんだい?」 不「それに目も少し充血してる。寝れてないのかな?」 赤「そっそんなこと無いっスよ!ピピピピンピンしてるっス! めっ目が充血してるのは、昨日少し寝るのが遅くなったからっス!!」 ……分かりやすっっ 嘘ついてんのバレバレやん!! 自分でも居たたまれなくなったんか、 切原君はそそくさと行ってしまった。 残った財前達は、去っていく切原君の背中を見ながら ポツリと呟いた。 財「分かっとると思いますけど、あれ嘘っスよ。」 日「昨日だって布団入って直ぐに寝てましたから。」 白「なら、なんであんなんなん?」 海「うなされてたんです。」 幸「うなされてた……?」 日「えぇ、ずっとうわ言で、『あと少しなのに、どうして…』って言いながら。」 財「泣いとりました。」 不「泣いてた?切原が?」 財「あんま話したそうちゃうかったんで、 深くは聞いとらんのですけどね。」 幸「『あと少しなのに、どうして…』か……みんなありがとう。苦労をかけたね。」 財前達は軽く会釈して去っていった。 白「なんか心当たり有りそうやな?幸村君。」 俺がそう言うと、 幸村君は小さく微笑み 幸「うん。前にも似た様な事があったからね。 大丈夫、後で赤也と話しておくよ。」 不「そう?ならいいけど。」 俺達は安心して朝食を食べた。
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