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真夏の太陽が、遠くに見える山の後ろに消えていこうとしてる。
「反応はここら辺のはずなんだけど、ホントにみつかるのかな…」
手に懐中時計のような物を持ち、何度もそれと周りを確認しながら、緩やかな山道を歩いていく少女。
「というか、なんでアタシが、こんな薄気味悪い山道を一人で歩かなきゃなんないのよ、もう!」
今、少女がいる場所はエレカシマウンテンと呼ばれ、特に珍しいものもなにもない普通の山である。
「まぁ、どうでもいっか。とりあえず、すぐ傍に川もあるみたいだし、今日はここにテント張ろうっと。」
そう言うと少女は、背中に背負っていたバッグから、荷物を取り出しテキパキとテントを張り始めた。
「ふぃ~、完成っと。」
テントを張り終えた少女は、水筒を手に取り、喉を潤そうとした。
「……カラじゃん。」
ハァと、ため息をつくと少女は近くに川があるのを思い出し、川の方へ歩いていった。
川に辿り着き、コプッコプッと、気持ち良いリズムで川の水を水筒に汲んでいると、
ブワッシャーン
一際大きな水音が、ここから少し上流の方から聞こえてきた。
「えっ、何!?」
少女は音のした方に顔を向けたが、辺りが真っ暗な為、何も見えないでいた。
少女が驚きの余り、しばらく硬直していると、先程音のした方でボゥッと大きな灯りが点くのが見えた。
「誰かいたんだぁ…」
一人呟き、灯りの点いた方を眺めつつ、少女は、このままテントにもどるか、灯りの点いた方に行ってみようか、どちらにするか悩んでいた。
「んっ、これは!」
先程まで、その場で悩んでいた少女は、バッと立ち上がり、川の上流に向かって勢いよく駆け出していった。
少女が向かった場所に辿り着くと、そこには一人の少年が木の幹に寄りかかりながら、肉にかぶりついていた。
「ちょっ…それアタシにも頂戴!」
少年は肉を口に頬張ったまま、
「いああ(嫌だ)。」
そう言った。
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