第1章 - 終わりの始まり‐

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 ダニエルは、自分の目の前で起きている情景がまるで映画のワンシーンを見ているような錯覚を覚えた。  ずっとコニーはスミスを揺さぶり泣いている。きっと彼の名を呼んでいるのだろう。目で見ている映像と少しずれて遠くで声がしている。それが何を言っているのかが、ダニエルの頭には入ってこない。 ―… あれ?オレ、何でここにいるんだっけ?  膝はガクガクと笑い力が入らない。フリーズした頭はなかなか正常には戻らないようで、その場で膝をつき呆然と辺りを見回す事しか出来なかった。コニーは衣服が血で汚れるのを躊躇う事なく、スミスを強く抱き締めむせび泣いている。  どれくらいそうしていただろう。コニーがスミスを床にそっと寝かせたかと思うと急に立ち上がりフラフラとキッチンに向かって行った。  カチャカチャと何かを取り出す音が聞こえ、コニーが持つソレが目にはいる。その刹那、ぼやけていた意識がハッキリしソレが何かを理解した。
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