第1章 - 終わりの始まり‐

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 ガシャンと何かが割れる音がドアの向こうから聞こえる。部屋の中を手当たり次第ひっくり返しているのだろうか。 「ダニー!!お前、金をどこに隠したんだ!!」  そう怒鳴り声を張り上げ、鍵のかかったダニエルの部屋の扉を乱暴に拳を叩きつけるのは父親であるゴアその人だ。  彼は、ダニエルの給料日になると決まって金を出せと暴れる。 「オレの金で、また薬でも買う気か?ちゃんと働けよ!薬を買うための金なんてねーよ!!」  ダニエルはうんざりしながら、扉に向かって叫ぶ。その手には、今月分の給料が握られていた。このお金で、家賃と生活費を捻出しなければならない。 「このクソガキ!!なめた口ききやがって、それが親に対する態度か、おい!?このドア開けやがれ!!」
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