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翌朝、ダニエルが恐る恐る扉を開けると、いつものようにゴアは散らかした部屋を音をたてないように片付けている最中だった。
「…おはよ。仕事行く前に、家賃払っとくから…。」
ダニエルは、ゴアにそう言うとそそくさと家を出ようと玄関に向かった。
「すまない…また…やっちまったんだな。」
ゴアは、肩をふるわせ啜り泣く。薬が完全に抜けた時のゴアは気弱で、暴れるような人間には見えない。
いい父親であろうと努力するつもりはあるのかもしれないと、この瞬間ならば思わないでもない。
ただ、この状態は長く続かない。直ぐに、禁断症状に襲われ、自身を失い薬や酒に溺れる。
「……」
ダニエルは、ゴアを横目に溜め息をひとつ漏らし、そのまま無言で扉を開けて出ようとした。
「ダニエル!…今度こそ、仕事見つけてやり直すから!!」
そう熱く決意を込めた言葉を、仕事に行くダニエルの背中に送った。何十回目かのゴアの決意にダニエルは、またか、と半ば呆れながら黙ってドアを閉めた。
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