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小さな飲食店の厨房で下働きをして稼ぐお金は決して多くはない。体を酷使し長時間働く事によりギリギリ路頭に迷わずに済んでいると言った所に過ぎないのが現状だ。
「あら、ダニエル。もう2週間たったのかしら?」
ダニエルが、思い詰めた様子で手入れの行き届いた庭先に自転車を停めようとした時、不意に声をかけられた。
ダニエルが声がした方向に振り向くと、買い物篭を持った老婆がニコニコと微笑みながら立っていた。彼女が大家のスミスの奥さんであるコニーだという事を確認すると、ダニエルは軽く会釈をし、
「はい、いつもお世話になっています。今回の分を持ってきましたので確認をお願いいたします」
と言いながら鞄から封筒を取り出す。
「はいはい、ちょっと時間いいかしら?帳簿をつけなくてはいけないから、中で待つ?」
コニーは、人好きのしそうな柔らかな口調でダニエルを家に招いた。
「いえ、此処で待ちます。」
「あらあら、じゃあ急いで領収書を書いてくるわね。」
コニーは、如何にも残念そうにしていたが、彼女の話は長いのだ。
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