第6章 ― 不調和 ―

7/15
前へ
/339ページ
次へ
 今のダニエルは、漠然とした恐怖心と不安や苦しみから自然と呼吸が荒くなり、吐き出す二酸化炭素より吸い込む酸素の方が多くなり過ぎているのだ。  呼吸の出来ない苦しさに加え、酸素過多になっている手足は痺れて動かなくなっていく。それに続き、体が自分の物ではなくなったかのように、硬直しジンワリとした痺れが身体中に広がり、思考は緩慢になった。  ずっと泣き叫ぶように、ごめんなさい、と繰り返し繰り返し呟き続けている。 「ダニエル!?……大丈夫だ、大丈夫だから、もう何も心配はいらない。僕が力になるから……君の苦しみが和らぐように力になるから!」  背中を擦り続けていたジョシュは、ダニエルの急激な状態の悪化に狼狽しながら必死に抱き寄せて、そう言い続けた。  ダニエルの呼吸がおかしくなってから、どれくらいの時間を過ごしていたのか分からなくなるくらい、ジョシュは必死に彼を救おうと努力していた。  しかし、その努力も虚しくダニエルは呼吸が不自然に浅くなり意識を失ってしまった。 ,
/339ページ

最初のコメントを投稿しよう!

573人が本棚に入れています
本棚に追加