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ダニエルは、オペレーターの指示通りに状態を確認しようとスミスの側に寄った。
『…もしもし?どうかしましたか?もう一度、言うわね?スミスさんは呼吸をしていますか?脈は確認出来ますか?』
電話口からはオペレーターが、ダニエルを急かすように口調を少し強めて訊いて来る。けれど、ダニエルは答えられない。いや、目の前にある状況を認識するのを頭が拒否していると言った方が正しいのかもしれない。
最初は、顔しか見る事が出来なかった、だが移動した事によりスミスの状態がただ血を吐いて倒れたわけではないらしい事が解った。
「あの…わかりません。わからないんです…血が…いっぱい出てて…それで…あちこち…肉が抉れて無くなってて…。こんな酷い状態で、い…生きてるわけない。」
スミスの腕の肉は所々かけて、歯形のような物が沢山ついていた。目は血走り見開いたまま、口はだらしなく開けてコニーの嘆きにも反応がない。
昔見た、母親の亡骸にそっくりな生気のない肌。それが重なって見えた。その瞬間、ダニエルの頭が真っ白になり、音が聞こえなくなった。
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