第6章 ― 不調和 ―

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 ただ、フェリー乗り場から逃げ出したジョシュにジョエルは怒りはしなかった。怒らず、確認して来てほしいと言ってきたのだ。  一緒に行動するはずの彼は、空港へ行くように指示した後、エリザベスを呼び出し市街地に消えていった。  そしてジョシュはジョエルの不可解な言動や行動に苛立ち、ダニエルにも当たり散らす結果を招いた。  ジョシュは、バックミラー越しにスヤスヤと気持ち良さそうに眠るダニエルを見て、はぁ、とため息を吐き出し気分を落ち着けようとした。  しばらく見通しの悪い道路を、延々と走り続けていると、不意に前方に妙なドラム缶が車のライトに照らされた。  ジョシュは、車を停めてマグライト片手にドラム缶のある方へと歩いていく。そのドラム缶には、ドクロマークのラベルが貼り付けてあり危険な物である事は間違いなさそうだった。  訝しげに、ソレを見ながら谷の方にもライトの光を向けてみる。すると、谷をかなり下り道路から死角になる位置に、うず高く積まれたドラム缶のような不気味なシルエットがそこにあった。 ,
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