第6章 ― 不調和 ―

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 …………もし仮にそうだとするならば、自分は元凶かもしれない物に触れたも同然だ。もし、その事が誰かに知られてしまったら自分はどうなるのだろう?  いや、そもそもゾンビと成り果ててしまう可能性があるのだから問答無用で殺されてしまうかもしれない。そんな不安がジョシュの頭の中をぐるぐるとまわり、恐怖心が次第に増大していく。  不意にダニエルの存在を思いだしジョシュはチラリと視線を移した。バックミラー越しにうつるダニエルが相変わらずスヤスヤと寝息を立てて眠ったまま起きる気配がない。  ふと我にかえり、ある事に気がついた。自分が車を停めてアレの近くまで行った事や、谷に不法放棄された物を発見した事は誰も知らない。  自分が言わなければ、誰も知る事が出来ない。だったら、口を閉ざしてしまおう。アレが元凶だと言う証拠はないし確証もない。だから、自ら立場を窮地に追いやる必要はない。  そう、ジョシュは考え無言で車を目的地に向かって走らせ続けた。 ,
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