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檻の密集地から離れた場所には、木製の古い扉。
唯一の出入り口のようだ。
扉の横には小さな窓。
薄暗いこの部屋に、微かな光を届けている。
扉の前には、無造作に置かれたたくさんの木箱。
箱の中からガサガサと、何かが這いずる不気味な音がする。
僕は、『コ』の字の一番端にいる。
隣の檻には、僕と同じように若い男が監禁されている。
学生服姿。高校生のようだ。
変型ズボンが素行の悪さを物語る。
男は壁に寄り掛かり、ただ出来損ないのワニを見ている。
その目は虚ろで、まるで死人のようだ。
わからない……わからない……わからない。
頭の中は混乱し続けるばかりで、この状況を理解するヒントさえくれない。
ホラー映画の世界に迷い込んだ、そんな気分。
これが現実なのか、虚構なのか、それすらよくわからない。
僕の不安は爆発寸前だった。
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