鰐の闇

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「誰かいませんか?」   不安を掻き消す様に、僕は叫んだ。 「誰か?」   何度も叫んだ。 その声に反応したのは、出来損ないのワニだった。 ワニは興奮し、暴れ始める。 動くワニの姿は、更に気持ち悪かった。 「刺激するなって言っただろっ!」   若い男が語尾を強め、僕に怒鳴った。 そして、僕を睨み付けた。 「どこなんだ? ここは…… どうして、僕は檻の中にいる?」   若い男は何も答えない。   小さな檻の中を何度も往復するが、考えは何一つまとまらない。 恐怖で頭がおかしくなりそうだった。
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