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え?……
その姿を見付け、僕は立ち止まる。
自分の目を疑った。嘘であって欲しかった。
ワニの檻の隣に……彼女の姿があった。
「ハルカ?……」
彼女もまた、檻の中に閉じ込められている。
床に倒れたまま、動かない。
「そんな……!」
彼女の手が、一瞬だけ動いた。
良かった……生きてる……
安堵のため息が漏れる。
僕の溜息と同時に、ハルカが目を覚ました。
彼女が最初に視界に捕えたのは、鉄格子の向こうに見える僕の姿だった。
「亮介?」
彼女は、不思議そうに僕の名前を呼んだ。
僕は何と答えればいいのか、わからなかった。
ガタ、ガタ……
「?」
彼女が隣の音に反応する。
「見るなっ!」
僕が叫んだ時には、もう遅かった。
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