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ん?……冷たい……
まぶたを開けると、水の滴が天井から落ちてくる。
ポタ、ポタ、ポタ……
滴は僕の額に広がる。一定のリズム刻みながら。
ポタ、ポタ、ポタ……
手で滴を拭い、上半身を起こす。
「痛っ……」
体中が痛い。関節が固まって、上手く機能しない。
頭もぼんやりして、最悪な状態……
床?……
道理で体中が痛いわけだ。
床の上に、直に眠っていたらしい。
まだ目が覚めていないのか、周りが霞んで見える。
目を擦りながら、周囲を確認する。
ん?……
鉄格子らしきものが見える。
「何?」
それに触れてみる。冷たくて、硬い……
どうやら、本物の鉄格子のようだ。
「えっ?……」
僕の視界が、ゆっくりと鮮明になっていく。
そこには、見慣れない景色が広がっていた。
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