38人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
まるで、潰れた恐竜……
出来損ないのワニ……
人の顔らしき部分が……正確には、女性の額から上唇の部分まで、ワニの喉の辺りに存在している。
いや、存在しているように見える.
それは、溶け出した蝋人形の様……痛々しく、底なしに気持ちが悪い。
「……何? これ」
頭の中が混乱する。
自分が生きてきた22年間の思い出から、この生き物に該当する項目を検索するが、何も見つからない。
手掛かりすらない。
作り物? 違う……だって、呼吸してる……これ、生きてる……
恐怖で後退りし、壁にぶつかる。
衝撃で壁の一部が剥げ落ち、僕の頭に降り注ぐ。
今まで積み上げてきた僕の大切な現実も、少しずつ剥げ落ちていくようだった。
これは夢?
だとしたら、僕はどうしてこんな化け物の夢を見ている?
最初のコメントを投稿しよう!