語り成す

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年端のいかない頃、彼は気に入らない子に積木を投げては泣かせていた。 俺はただそれを見ていた。 小学校時代、彼は気に入らない子を階段から突き落としていた。 俺はただそれを見ていた。 中学時代、彼は気に入らない奴を灰皿代わりにしていた。 俺はただそれを見ていた。 高校時代、彼は気に入らない奴の顔をひたすら殴り続けていた。 俺はただそれを見ていた。 そして今、彼は要らない人間を間接的に殺めるようになった。 俺はただそれを見ている。 彼はどうやら少しだけ賢くなったようだった。
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