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田嶋は中村主水のように首に巻いていた布を頭に巻く。
「どうやら我々だけでは無いようですね」
「どうなってンだ?」
そこへ新たにメールが届き、狸は再び新着メールを開く。
[from:シルバーヘルム
気付いているかと思うが、諸君等のアバターを解除し、ログアウトボタンを消去した。諸君等が解放される条件はただ一つ、このゲームをクリアする事だ。君らがいるのはこのゲームの最下層、最上層にいる魔王である私を倒せばゲームはクリアだ。ちなみに、ゲームオーバーしても目覚めはしないのでそのつもりで。以上、【カオスクラウドクリスタル】のチュートリアルを終了する]
「シルバーヘルム?」
「どこかで聞いた覚えがありますね……」
TNTメンバーは首を捻った1人を除いて。
「銀兜さんだ」
ダサイノが言った。
「銀兜さん? ダサイノさんと仲良かった?」
「思い出しました。シルバーヘルムは銀兜さんの作品の主人公ですよね。ハローワークで魔王の仕事を紹介されて、魔王になるっていう……」
「そうです! 銀兜さんを探しましょう! 同窓会には来てた!」
「まだ町にいますかね?」
「解りませんけどッ……!」
ダサイノは白井の質問にそう答えると、町へ走って行った。
「奴が犯人なら、残ッてるはずねェと思うンだがな……」
「私もそれを懸念してました……それにしても足速いですねダサイノさん」
「意外にな……」
「もうあんな所に……! 私達も見失う前に追い掛けましょう!」
白井がそう言って駆け出すと、他のメンバーも後に続いて行った。
旅立ちの町――ダサイノ以外のTNTメンバーが町へ戻ると、多くのプレイヤーがゲームから出られない事にパニックとなっていたが、それでも切り替えの早い者は宿を確保する等、冷静な行動を起こしていた。
「見失っちゃいましたね」
「やっぱり皆パニック状態だね。ダサイノさーん!!」
狸が大声を上げるが、当然返事は無い。
「ダサイノさんはどこへ行ったんでしょう?」
「銀兜さんを探すなら、取りあえず同窓会の行われたコロッセオ付近でしょうか?」
「見付かるとは思えねェけどな」
TNTメンバーはダサイノと銀兜の姿を求めコロッセオの周囲を探すが、既に辺りは暗く。人の姿すら疎らとなっていた。
「やはりいませんね……」
「現代の街と違ってランプの灯りは暗いですからね。人もあまり出歩かないのでしょう」
yasuが町の様子を分析する。
「仕方ない、しばらく出られないんだし、そろそろ宿でも探さないと……」
「野宿するわけにもいかねェからな」
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