魔王-GM-

4/8
前へ
/574ページ
次へ
 田嶋は中村主水のように首に巻いていた布を頭に巻く。 「どうやら我々だけでは無いようですね」 「どうなってンだ?」 そこへ新たにメールが届き、狸は再び新着メールを開く。 [from:シルバーヘルム 気付いているかと思うが、諸君等のアバターを解除し、ログアウトボタンを消去した。諸君等が解放される条件はただ一つ、このゲームをクリアする事だ。君らがいるのはこのゲームの最下層、最上層にいる魔王である私を倒せばゲームはクリアだ。ちなみに、ゲームオーバーしても目覚めはしないのでそのつもりで。以上、【カオスクラウドクリスタル】のチュートリアルを終了する] 「シルバーヘルム?」 「どこかで聞いた覚えがありますね……」  TNTメンバーは首を捻った1人を除いて。 「銀兜さんだ」  ダサイノが言った。 「銀兜さん? ダサイノさんと仲良かった?」 「思い出しました。シルバーヘルムは銀兜さんの作品の主人公ですよね。ハローワークで魔王の仕事を紹介されて、魔王になるっていう……」 「そうです! 銀兜さんを探しましょう! 同窓会には来てた!」 「まだ町にいますかね?」 「解りませんけどッ……!」  ダサイノは白井の質問にそう答えると、町へ走って行った。 「奴が犯人なら、残ッてるはずねェと思うンだがな……」 「私もそれを懸念してました……それにしても足速いですねダサイノさん」 「意外にな……」 「もうあんな所に……! 私達も見失う前に追い掛けましょう!」  白井がそう言って駆け出すと、他のメンバーも後に続いて行った。 旅立ちの町――ダサイノ以外のTNTメンバーが町へ戻ると、多くのプレイヤーがゲームから出られない事にパニックとなっていたが、それでも切り替えの早い者は宿を確保する等、冷静な行動を起こしていた。 「見失っちゃいましたね」 「やっぱり皆パニック状態だね。ダサイノさーん!!」  狸が大声を上げるが、当然返事は無い。 「ダサイノさんはどこへ行ったんでしょう?」 「銀兜さんを探すなら、取りあえず同窓会の行われたコロッセオ付近でしょうか?」 「見付かるとは思えねェけどな」 TNTメンバーはダサイノと銀兜の姿を求めコロッセオの周囲を探すが、既に辺りは暗く。人の姿すら疎らとなっていた。 「やはりいませんね……」 「現代の街と違ってランプの灯りは暗いですからね。人もあまり出歩かないのでしょう」  yasuが町の様子を分析する。 「仕方ない、しばらく出られないんだし、そろそろ宿でも探さないと……」 「野宿するわけにもいかねェからな」
/574ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加