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室内からの声に、yasu以外のTNTメンバーも驚いてドアや壁から耳を離す。
「特命係の亀山ァ! 聞いてんのは分かってんだよ!」
しばしの沈黙の後、田嶋が呟いた。
「……馬鹿だなコイツ」
「『相棒』のイタミンじゃないんだから……」
白井が苦笑しながら言うと、yasuはドアを開ける。
「あ」
「って、入ってきたよ!」
yasuが部屋の中に入ると、数名のモバゲー高同窓生達が、椅子に縛り付けられ、丸い顔がボコボコになった銀兜を取り囲んでいた。
「ちょっと、よろしいですか?」
「yasu先輩じゃないですか!? それに狸先輩に田嶋先輩も……!」
「特命係のねたふり狸(TNT)だ」
狸も勝ち誇った笑みを浮かべながら部屋に入り、yasuは銀兜の前に座る。白井は後ろでその光景を見て、口を抑えて笑っていた。
「y…yasu先輩~」
「銀兜さん、我々は貴方が今回の事件を引き起こしたとは思っていません」
「犯人ならこのゲームに残る理由が無ェからな」
田嶋は壁にもたれ掛かってyasuの言葉に付け足した。
「そこで私が気になっているのは、シルバーヘルムというキャラクターを誰か他人のキャラクターと絡ませた事があるのではないか? という事です。そのような心当たりは?」
「え~と、ここにいる田嶋さんにランブルさん、トラゴンさん、富竹さん以外は……」
銀兜は文芸部員の名を真っ先に挙げると、思い出すように1人1人の名を話していった。
「ダサイノ兄貴に、ぱとたろうさんと、◇-澪兎-◇さんと、パンプキンさんと、かきしぶさんと……くらいだったかと思います」
「有難うございます。質問は以上です」
yasuはそう言うとサッと立上る。
「え?」
「さぁ、今日はもう部屋で休むとしましょう。ここでは食事の意味は無いでしょうが、睡眠は必要です。明日の朝は早いですよ」
「あ、あの~俺はどうすれば……」
銀兜は縛られたままである。
「彼を放してさしあげてはどうですか? 犯人でない事は、明白だと思いますが」
yasuは銀兜を拘束している後輩に言い、部屋のドアを閉める。
「yasuさん、何であんな事聞いたんですか? 何か気付いたんですか?」
「明日の朝、話します。それより、狸さんはダサイノさんに銀兜さんを見付たとパーティーメッセージを送って下さい。先程フロントの方にダサイノさんが来たら我々の部屋へ案内するように伝えておきましたから」
「あ、そうか」
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