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「お久し振りです。侍姿とは相変わらずですねぇ」
「手前ェもな」
「ダサイノさんもね」
ダサイノは感心するが、田嶋と狸がツッコミを入れる。
「西洋人のアバターになってイメージが変わらないのは凄いですね。ところで、御二人が出てきたという事は、同窓会は終わってしまったのでしょうか?」
「ええ、ついさっき」
yasuの質問に白井が答える。
「そっか、それじゃあ遅れて丁度良かったね」
狸は遅刻した事に開き直って笑う。
「まだ近くに残ってる人もいると思いますよ」
白井は先輩3人に同窓生を会わせようと促すが、狸はペンダントの水晶に触れ、水晶が光って空中に操作画面が出る。
「いいのいいの、それよりゲームシナリオ進めよう! パーティー組むよ」
「はい」
「そうですね」
「了解」
「Ye……yes,ma’am.」
<ねたふり狸さんからパーティーに誘われました。パーティーに入りますか?>
それぞれ身に付けているペンダントの水晶が光り、空中にメッセージ画面が投射され、皆了承のコマンドを選択するが、ダサイノだけ戸惑っている様子だ。
「どうしたの? ここまで来て入らないの?」
狸がダサイノに詰め寄ると、ダサイノはかなり狼狽えながら返事をする。
「いえ、操作にまだ慣れてなくて……」
「そう言えばダサイノさんは在学中、携帯電話すら持っていませんでしたね」
yasuが在学時代を思い出して言うと、狸と田嶋が笑う。
「ダサイノさんらしいね」
「全くお笑いだ」
「メイトリクスがいれば、奴も笑うでしょう」
「ここをこうするんですよ」
白井が映画『コマンドー』の台詞で自虐しているダサイノの手を取り、コマンドを選択する。
「ああ成程……やっぱりこの操作感嫌だなぁ……」
水晶はゲーム中ステータスやメッセージの表示等を行うためのもので、プレイヤーキャラクターはそれぞれアバターに合ったデザインのペンダントに全員身に付けている。
「それで、パーティーの名称は何て名前にするんですか?」
yasuが尋ねると、狸は腕を組んで数秒。
「“モバ高文芸部OB団”?」
「まンまじゃねェか」
田嶋は絶妙のタイミングで狸の頭を叩く。しかも何度も。
「やめッ! 縮む!」
「アバターが?」
白井の発言に皆笑い、田嶋は仕上げと言わんばかりに強引に狸の頭を撫でた。狸のアバターの髪が乱れる。
「ぎゃーっ、髪形が……!!」
「それではどんなパーティーにしたいのですか? それによってイメージされるような名称が良いと思うのですが……」
「え、え~とねぇ……」
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