序-prologue-

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「そうですね、あの時の経験が役立ちました。ゲームだから食らっても痛みは擬似的なものなんでしょうけど、これだけリアルだとついつい避けちゃいますよね」 「そうだねぇ。さて、今日はもう遅いし、そろそろ解散しよっか」  狸の言葉に他のメンバーがふと辺りを見れば東の空に闇が迫り、西の空を太陽が赤く染めていた。 「そうですね。でも、陽が沈むまでいましょうよ。とても綺麗です」 「わぁ、本当!」  白井の発言に皆西の空を眺める。 「月並みな言い方ですが、ゲームの中だという事を忘れそうですね」 「HDRレンダリングが綺麗だなァ」  HDRレンダリングとは、24bit以上の色彩情報を使用する事で、高い精度の諧調を維持し、極端な明暗も綺麗に描写出来るモノらしい。 「田嶋さんロマン壊さないで下さい」 「レンズフレアは映画的演出ですね」  レンズフレアは、カメラによって写真・映像を撮影する際に、極めて明るい光源がレンズに向けて当てられている時や、画角内に極めて明るい光源が存在する場合に暗部に生じる、光の漏れの事である。 「ダサイノさんまで……」 「でも好きだなぁ」 「え?」  ダサイノの呟きに白井は振返る。 「サンセットはどこで見てもいい……」  ダサイノは目を細めてしみじみと言った。 「……そうですね」image=472738407.jpg
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