痴漢

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また、いつものように、一週間が始まろうとしていた。 うるさく時を叫ぶ目覚まし時計を殴り付け、俺は、布団からもぞもぞと這い出した。 月曜日の朝なんて、自主休講、つまり、サボれよと不良学生は思うかもしれない。 だが、月曜日1コマ目の講義は、法学科の俺にとって、単位がないと卒業できない必修科目なのだ。 しかも、百戦錬磨の干からび老教授は、学生の習性を知り尽くしており、嫌な方法で出欠をとりやがる。 他の講義のように、名簿に丸をつけるとか、紙に名前を書くだけではないのだ。 代返防止に、20分くらい講義をした後に、10分のテストをする。 さらに、テスト後の脱出や睡眠防止の為に、テストに書いてある名前を見て、ランダムに学生を指名する。もし、学生がいなければ、テスト用紙を破り捨てるという、法学教授とは思えないアカデミック・ハラスメントまがいの荒業にでやがる。 そんなわけで、月曜日朝9時の講義に向かうために、俺は、いつものように、アパートを出た。
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