001

2/9
前へ
/146ページ
次へ
 その日は高校の始業式で、早帰りだった。  四月初旬。どこもかしこも新生活を始める人々でごった返していた。 ─とはいえ、僕は今年度から、つまり今日から高校二年生なので、これといって生活が変わるなんてことはない。何ひとつ、去年と変わらない。僕が通う高校は何故かクラス替えがないし、それに特に新しいことを二年生から始めるなんてことも、まず無い。  だから、今年も去年と─昨年度と何も変わらない一年となるのだろう。  僕は、そんな紛れもない現実に、つまらない現実に、うんざりしていた。 それは確かだった。 そんな事を考えていると、下校中である僕の足取りは自然と重くなる。 これもまた、いつも通りの事なのだ。 いつも通りで。 平凡で、平淡な、なんの面白味のない日常。 こんな毎日が。 僕が最も忌み嫌う─日常だ。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加