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 僕はふと、俯いていた顔を上げ、天を仰いだ。 特に何があったわけでもないが、何故か突然空を見上げたくなったのだ。 俺にとってはよくあることだ。  空は毎日違う。それどころか、毎時間、毎分、毎秒違っている。 見る場所によっても様々な見え方がある。 そんな空を僕は羨ましく思うのだ。  今日の空も、昨日とは違った。今日は雲の動きが早く、太陽が出たり隠れたりを繰り返していた。 太陽が出る度に辺りは暖かな陽光に照らされる。 そして雲で太陽が隠れる度に、辺りは暗く、全体が日陰に包まれる。  俺が見上げたその時その瞬間も、太陽がちょうど隠れようとしていた。 ゆっくり、ゆっくり。 段々と辺りは暗くなり、涼やかな雰囲気に包まれる。 「…っと、いけない」 俺は知らぬ間に自然と足が止まっていた事に気付き、視線を元に戻そうにした。 ─その時に。 俺の視線は“ソレ”を捉えた。
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