序:愛猫の行方

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私には唯一の家族がいる。 名前はアイビ。女の子。 血は繋がってないし、人間ですらないけど あの白い毛並みはとてもやわらかくて ところどころに黒と茶色の水玉模様なんか付けちゃって。 時折、何かをじっと見つめては“みゃあ”と鳴く。 いわゆる猫ってやつ。三毛猫ってやつ。 私のかわいいメス猫。 あまり人間にはなつかないような子だけど、私にはすごい甘えてくるの。 すぐ行方不明になるのは困った所。 それでも、帰ってくるときにはいつもゴキゲンで のどを鳴らしながら、 そっと私に寄り添う。 私のかわいいアイビ。 そんな彼女が6日前に家出をしてしまった。 いつもみたいにひょっこり帰ってくると思うし、心配するような、そんなヤワな子じゃないし とりあえず待ってみることにした。 その前に、6日前から出しっぱなしのエサ、片付けなきゃな。 特に意味はないけど、私は彼女のお皿に盛ったキャットフードを一旦、袋に戻すことにした。 「あ、これ、ドッグフードだった」 彼女が家出をして6日目。 多分、明日も帰ってはこない。
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