229人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、姉様?俺にもその約束して欲しいなー。」
…そう言って、アベルはにこりと笑った。
「え?…や、約束?」
「ん。そう。同じようにね?」
…そう言って、アベルが左頬にかかった髪をさらさらとかきあげた。
そんな仕草が、少し艶っぽい。
少しためらいがちに、固定するように。
…そっと、左頬に手を添える。
…あれ、なんか。
恥ずかしくなって来たぞ?
「……アベル、バスの中だし。やめない?
」
「…ん、大丈夫。みんなこっち見てないから。
…それに、姉様の精霊だけにいい思いさせたくないしー。」
…いい思いって、なんだー?
…チラチラ視線が気になる中、覚悟したように目を閉じて身を乗り出す。
アベルの親衛隊が見たら、怒り狂われてたな。コレ。
居なくて、良かったー。
…柔らかい頬に、軽くリップ音をたてて離れる。
「姉様、ありがとう。…もー、可愛くて、俺。このまま姉様抱きしめて、眠っちゃいたい。」
…ちょ、それは困る。だって…
「…もう、着くよ?」
窓の外に真っ直ぐのびる道の先には、木ヶの間から観覧車が見えていた。
最初のコメントを投稿しよう!