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…バスが到着したのは、五分ほど経ってからだった。
…乗り込んで座ると、向かいの席の4人組みのおばさん達に声をかけられた。
「あれ、まー。実ちゃんでねーか?」
「…あれ?みんな揃ってお出かけ?」
…どうやら、アベルの知り合いらしい。
「女子会だ。今、みんなで新しくできた喫茶店さ、行く所だ。」
「あは、楽しそー。」
そう言って、アベルはへにゃりと笑った。
「実ちゃんこそめかしこんで、何処さ行くの?」
「姉様と一緒に遊園地に行くんだよー?
…あー、こちら俺の姉様。…で、姉様?こちらのご婦人方が…
右から。きよちゃん、よねちゃん、かずよちゃんとはなちゃんねー。」
「こんにちは。」
笑顔で頭を下げる。
「…あれ、年子か?」
「目元が似てるなー。」
「違う、きよさん鼻だ!鼻が似てっぺ!」
いや、兄弟と言っても前世のだけどね。
…それにしても、アベルの交流関係の広さには驚かされる。
「…あ、よねさん、よねさん、次だ次!ピンポーン押しっせ。」
そして、軽快な音と供にバスが止まった。
「あー。みんな、もー行っちゃうの?」
「…あぁ、ごめんな?次の女子会は、実ちゃんも誘うから。…ほら、おばちゃんが飴ちゃんやるから。」
「実ちゃん、おばちゃんもモナカやる。」
「よねさんは、ほらせんべい。」
…おばさん達が降りるころには、アベルの膝はお菓子だらけになっていた。
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