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「あは、モテモテだね。アベル。」
「妬いたー?」
冗談っぽく言ったアベルにクスクスと笑う。
「あはは、妬いた、妬いたー。」
「…でも、おやつGetしたよー。やっぱり、遠足にはおやつだね♪」
…そう言って、鼻歌をハミングしながら飴の包み紙を開いたアベルが中身を取り出して私の口の中に入れた。
「…おいしい?」
「ん、甘くておいしいよ。」
「良かった。」
へらっと笑ったアベルに微笑む。
…昔から、そうだ。
自分より、私が喜ぶ事を優先させようとする。
…前世でぬいぐるみを抱えて、自室に閉じこもっていたアベルの姿が脳裏に浮かぶ。
城の人間に対する不信感が、その幼い瞳を満たしていた。
だから、アベルの交流関係が広がったことは素直に嬉しい。
…私にも、何か出来ないかな?
いつも私を喜ばせてくれる、アベルに。
「…ねぇ、アベル?…私も何かお返したいな?」
「…え?」
「アベルに。」
そう言って、にっこり笑うと…
アベルは戸惑ったような顔をした。
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