229人が本棚に入れています
本棚に追加
遊園地に着くと、バスを降りて伸びをした。
…さすがに、夏休み。
どこ行っても混んでる。
…アベルに、チケットを手渡されて中に入ると…
とりあえず、案内掲示板の前で立ち止まった。
「…ねぇ、姉様。何か苦手な乗り物とかアトラクションある?」
「…あは。実は、初めて来たからわかんない。」
「マジで!!…俺とが、初遊園地?」
「うん。だから、アベル頼りだよ?」
…そう言った私に、アベルはにこやかに笑った。
「うん。頑張って、エスコートするね
ー?」
そう言ったアベルに、頷く。
「あ…。アベルは、苦手なアトラクションないの?」
「うん。実は、ミラーハウスだけは苦手。観覧車は平気なんだけど、俺…軽度の閉所恐怖症なんだ。…あの場所は、自分以外が見えなくなるから…。」
もしかして、アベルの人好きって…
…前世のトラウマが、関係してるんじゃ…?
…心配になって、顔を覗き込んだ私に。…寂しそうに笑ったアベルが、私の手を取って歩き出した。
「…姉様、ポップコーン食べよう?」
…その笑顔は、元のアベルに戻っていて。ほっ…と、息をつく。
気をつかわせて、しまったのかもしれない。
…アベルには笑ってて欲しいんだ。
最初のコメントを投稿しよう!