実と遊園地。

10/48
前へ
/234ページ
次へ
遊園地に着くと、バスを降りて伸びをした。 …さすがに、夏休み。 どこ行っても混んでる。 …アベルに、チケットを手渡されて中に入ると… とりあえず、案内掲示板の前で立ち止まった。 「…ねぇ、姉様。何か苦手な乗り物とかアトラクションある?」  「…あは。実は、初めて来たからわかんない。」  「マジで!!…俺とが、初遊園地?」 「うん。だから、アベル頼りだよ?」 …そう言った私に、アベルはにこやかに笑った。  「うん。頑張って、エスコートするね ー?」 そう言ったアベルに、頷く。 「あ…。アベルは、苦手なアトラクションないの?」 「うん。実は、ミラーハウスだけは苦手。観覧車は平気なんだけど、俺…軽度の閉所恐怖症なんだ。…あの場所は、自分以外が見えなくなるから…。」 もしかして、アベルの人好きって… …前世のトラウマが、関係してるんじゃ…? …心配になって、顔を覗き込んだ私に。…寂しそうに笑ったアベルが、私の手を取って歩き出した。 「…姉様、ポップコーン食べよう?」 …その笑顔は、元のアベルに戻っていて。ほっ…と、息をつく。   気をつかわせて、しまったのかもしれない。 …アベルには笑ってて欲しいんだ。    
/234ページ

最初のコメントを投稿しよう!

229人が本棚に入れています
本棚に追加