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…アベルが買ってきたキャラメルボップコーンを頬張りながら、ベンチに座ってパンフレットを開く。
「えーと、今がここだよね?」
「あー、違う違う。姉様、地図が逆だから。」
…そう言って、アベルがにこりと笑った。
私、昔っから、方向音痴なのよね。
…ここは、大人しくアベルに任せようと顔を上げた。
その、瞬間…。
スカートの裾を掴まれる。
ビックリして其方を向くと、3~4歳くらいの男の子が私の裾を引っ張って泣きじゃくっていた。
…もしかして。
「…っ。ふぇ。まま、どこ。居る?」
「あちゃー、迷子だね。」
そう言うとアベルは男の子の前にしゃがみこんだ。
「…僕、お名前はー?」
「…きたむら、まおと。」
「良くできました。…年は?」
「3つ。」
…心細かったのだろう。アベルに抱き付いその子の頭をアベルの大きな手が包む。
「一人で、怖かったねー。…大丈夫だよ。お兄ちゃん達が、一緒に探してあげる。」
…そう言ったアベルに、男の子がこくりと頷いた。
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