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『…姉様ーっ。今、副会長と一緒になんかいないよね。』
「…え?なんで知ってるの?って、壱音先輩に用事?…代わる?」
…アベル可愛いな。きっと、壱音先輩が生徒会忙し過ぎてお見舞い行けなかったから、寂しいんだな。
『…違ーうっ。静ちゃんが、喫茶店で見たって。本当?』
「え?あぁ、約束してた水族館にこれから行くとこ。」
『じゃあ、付き合ってるとかじゃないんだね?俺、嫌だよ?副会長が兄さんなんて。絶対、小間使い並みにこき使うよ!!』
……あぁ、やりそう。
でも、考え過ぎだ。
「アベル。そんな心配いらないよ。……壱音先輩は、蒼が好きなんだから…!!」
…と言った瞬間、目の前の壱音先輩がむせった。
「ごほ、げほ、ごほっ…。」
「…壱音先輩っ!!大丈夫ですか?」
「…朔夜、訂正させて下さい。私は、香月に恋愛感情は…」
…壱音先輩のその言葉は、アベルの電話越しの声によって遮られた。
『うん。そうだね。…それでいいよ、姉様。』
……なんだかよく分からないけど、アベルは納得してくれたらしい。
「で、紀藤は何の用事なんですか?」
「…アベル、あれ?なんの用事?」
『副会長と出掛けたって聞いて心配だったんだよ。……声聞きたかったし。』
……声?
なんて…
なんて、可愛いんだアベル。
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