忘れ物

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俺の地元では毎年わりと大きな花火大会が行われる。 近くを流れる大きな一級河川上から打ち上げられる一万発ものそれに、河川敷は勿論なだらかな丘陵地になってるこの辺は穴場スポットとして、年々訪れる人が増えていた。 まぁ都会ではないけれど、それが徒歩で見に行けるのだけはちょっと得した気分だった。 そんな華やかな花火も終わり、人々がぞろぞろと家や駅へと向かう今、俺は一人流れに逆らって元いた場所へと急ぎ歩いていた。 「……あっつぅ……」 自分の間抜けさにうんざりして。 ジモ民である俺は河川敷には行かず、彼女のいない同じ高校のツレ三人と、坂の途中にある見晴らしの良い小さな公園で花火を見ていた。 コンビニで買い込んだコーラやスナック菓子を食べてだらだらくっちゃべって。 家に帰ったところでようやく携帯がないことに気が付いたんだ。 汗で湿ったTシャツはベタベタして、坂を上る二度目の苦行を強いられた俺の不快感を増長させる。 クッソ……拾われてなきゃいーけど。 そんな思いを胸に公園に戻ると街灯もないそこは仄かな月明かりに照らされているだけで誰もいない、 と思っていた。 ……、あれ?
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