前だけを見てる

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祥ちゃんが色々と手配をしてくれて アメリカに飛び立った私達 深雪さんが滞在しているホテルに向かった 「これ、野波さんが入院してる病院 弟くんから教えてあげな」 「ありがとうございます」 「あっ、あそこ」 タクシーを降りた私達の前に ちょうどホテルから出て来た深雪さんが見えた 深雪さんに向かって歩く哲平さん 歩き方がちょっと怒った感じなんだけど 「母さん!」 不意に呼ばれて驚く深雪さんを 抱きしめてた 哲平さんのまさかの行動に 深雪さんも私も驚いた 「哲…平、どうして…」 「勝手にいなくなんなよ…」 「…ごめんなさい… 薫さんも…ごめんなさい」 「無事で良かったです」 今更ながら自分の行動に気づいたのか 深雪さんの体を勢いよく離すと 急にそっぽを向いちゃった 照れちゃって 「こんな所でなにしてんだよ」 「里子に会いたくて…」 「それだけ? なんで離婚届まで必要なんだよ」 「それは…」 「俺の母親は田丸深雪なんだよ 俺達は家族なんだから 勝手にいなくなんなよ」 ちゃんと言えたね
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