前だけを見てる

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深雪さんはやっぱり元気がなかった 部屋に帰ってもどこかぼんやりしてて 「あの、何かあったんですか?」 「ううん ただね、本当にこのままで良いのかなって 哲平の写真を見た時 とても嬉しそうだったの 母親なんだって感じたわ あの子の幸せだけを願ってる もう来ないでって言われちゃった」 「哲平さんも言ってたじゃないですか 母親は深雪さんだって」 「嬉しかったわ 里子には悪いと思いながらも やっぱり嬉しかった」 「親孝行をちゃんとしたいって そう思ってると思いますよ 深雪さん、一緒に帰りましょう」 「薫さん…」 「ワインでも飲んじゃいます」 「そうね、飲んじゃおう」 深雪さんの気持ちが 少しでも晴れれば良いなと思った
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